

「灯油」と聞くと、寒い季節のストーブやファンヒーターを思い浮かべる方が多いかもしれません。でも実は、灯油は寒い季節だけの燃料ではありません。春や夏も、そして空の上でも私たちの生活の裏側で大活躍している燃料なんです。
灯油の正体は「原油」からできた中間選手
灯油は、「原油(げんゆ)」という地下から採れる天然の油から作られます。原油は世界中の地中から採れ、見た目はドロッとした黒っぽい液体。そのままでは使えないので、「精製(せいせい)」という工程でさまざまな製品に分けていきます。
精製の過程では、原油を高温で熱して、沸点(蒸発する温度)の違いで分離します。すると、軽いものから順にガス、ガソリン、灯油、軽油、重油、アスファルトといった製品に分かれます。
灯油の成分の中心は「炭化水素(たんかすいそ)」という、炭素(C)と水素 (H) がくっついたもの。私たちがよく知るプラスチックなどの材料もこの仲間です。これが燃えることで熱を出し、暖房やエネルギーとして利用されます。
実は、飛行機も“灯油”で空を飛んでいる

春や夏といえば、旅行シーズンや出張で飛行機に乗る機会も増える時期。実は、飛行機の燃料(ジェット燃料)は灯油にとても近いものなのです。たとえば「ジェットA-1」という燃料は、灯油をさらにきれいに精製して、寒さや高空でも安定して燃えるように調整したもの。
つまり、飛行機は“高性能な灯油”で飛んでいるとも言えるのです。
灯油は一年中、いろんな場面で活躍中
春や夏にはあまり出番がないように見える灯油ですが、実際にはキャンプ用のランタンや災害時に役立つ灯油式の発電機、農業用の乾燥機など、季節を問わず使われています。そして空の上では、年中ずっと飛行機を動かしている重要なエネルギー源でもあるのです。
灯油は、季節を超えて、私たちの暮らしと産業を支える頼れる燃料なんですね。