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スイッチなひと
スーパー魚長 柳沢社長

#006 柳沢一弥(やなぎさわ かずや)さん

有限会社 魚長 代表取締役社長。父・柳沢小弥太氏が創業したスーパー魚長を引き継ぐ。「創業者の父と母の懸命に生きる姿を見て育ち、『コツコツやることが大事、毎日を大切にしろ』と教えられた」と語る。函館市在住。64歳。

トドック電力では組合員さんのご家庭向け電力のほか、法人向けにもでんきを供給しています。函館市を拠点に展開する「スーパー魚長」(全19店舗)は2019年8月にトドック電力にスイッチ。お店でも欠かせないでんきについて、柳沢社長にお話を聞きました。

─スーパー魚長では、従来から徹底した 節電に取り組んでいると聞きました。

ええ。実は10年前までは「とにかく明るければ良い」と必要のない場所の照明までつけていました。2009年に事業改革期を迎え、コープさっぽろ様との事業提携をさせていただきましたが、最初にご指摘いただいたのは使用電気の中身でした。それまでは請求書が届いても使用した詳細を確認せずに支払っていたのですが、冷静に見直すと使用量・料金ともに想像以上!要するに丼勘定だったわけです。年間数億円も支払っているのに、私を含め社内の誰もが営業損益の中で気にしていなかった事実にも驚きました。そこで経費の「見える化」、電力の「見える化」に取り組みました。すると、それまであたりまえと思って見過ごしてきたことの中に数多くのムダがあると気づきまた。たとえば開店前に店舗の基礎照明を100%つけて作業したり、夜中もトイレの便座ヒーターをつけっぱなしにしていたり。微々たるもの?そんなことはありません。19店舗に4つずつ便座があるとして、それが毎日(365日)ですよ!店だけじゃなく、事務所内も使っていないコピー機やシュレッダーの電源がいつもオンになっていました。そこで、店舗・事務所内の節電を実施して、経費の削減、いいえ、経費の適正化に全力で取り組みました。店内照明は必要最低限にしました。そのせいでお客様からは「店が暗い」「この会社、大丈夫?」なんて言われて。そこで店内に「電力安定供給のため節電中」というPOPを掲示して理解を求めたんです。社員も最初はあまり乗り気じゃないようでしたが、損益を公開し、毎月の電気使用料の情報も共有したことで、積極的にカイゼンに取り組むようになりました。結果はすぐに表れました。電気の使用料は1年後には年間で8%減り、最も効果が出た年には取り組み開始当初の30%減を達成することができました。

─最大で3割ですか!節電に取り組んだ ことで得られたことはほかにありますか。

電気だけではなく、何事にもムダを見つける目で業務に臨むことの大切さに気づきました。たとえば商品の冷凍室ですが、棚卸のときに寒いからと開けっ放しにしていた社員がいました。なぜ寒いのか、理由は簡単です。整理整頓できていないから棚卸に時間がかかるんです。在庫の持ちすぎも原因でした。「カイゼンできるまで冷凍庫を使うな!」と言ったら現場は猛反発(苦笑)。でも、整理整頓して在庫を減らせば、楽になるのは自分たちなんです。昨今、問題視されている長時間営業も、在庫を持つことで起きるフードロスも、作りすぎのロスも、すべてムダな作業に端を発しています。今からでも遅くない。気づいたらそのときに直す。それをコツコツ継続することで変わるはずです。気づきといえば…今年の冬は特に雪が少なかったですね。畑の作物もそうですが、海の魚が心配です。本来なら山の雪が解けて養分を含んだ水が海に流れ、魚たちはその栄養分を摂取して育つのに、これだけ雪が少ないと生育に影響するんじゃないか。そう嘆く漁師もいます。温暖化の影響なのか、何なのかは分かりません。でも、自然環境とエネルギーの維持にすべての人が関心を持つことがこれからは大事。我関せずは今の時代にそぐわないですよね。何でも便利になり人との関りが希薄な現代ですが、私は個人的には、右脳を使ったアナログ人間に戻った方がいいと思います。私の趣味はランニングですが、知らない街でも自分の足で走れば、感覚的にいろいろ分かってきて、地図アプリを見なくても不思議と道に迷わないんです。私の孫たちは自然が大好きでアウトドアで育っていてたくましいですよ(笑)。不便な環境にふれる機会を作ってあげたらよいと思います。きっと学ぶことがいっぱいあります。

スーパー魚長
「魚長さん」と呼ばれ親しまれる 地域密着型のスーパーマーケット とにかく鮮魚が自慢!
創業74年目。まちの一軒の魚屋さんからスタートし、45年前から「スーパー魚長」の看板を掲げて、現在は函館市内および近郊に19店舗を展開。地元では「魚長さん」と、さん付けで呼ばれるほど地域密着型のスーパーマーケットとして親しまれています。高齢者にやさしい店づくりに取り組むほか、「正しくおいしく食してもらうこと」の発信を大切に工場・産地見学や体験学習など参加型企画も実施しています。
https://www.uocho.co.jp/
趣味はランニング
55歳から始めたマラソン。出張の際にはランニングシューズをバッグに潜ませて、時間を見つけてはランニングを楽しむそう。道内のマラソン大会にも多数参加。「無事完走できるようになり、苦しくてもガマンをすることを学びました。商売も山あり、谷ありですが踏ん張ります!」。なお、スーパー魚長は毎年小学生を対象に「ちびっこ健康マラソン大会」を開催し、今年で35年目を迎えます。
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