あの日の苦い思い出 2018年9月6日
「オンサイト発電を導入することになった一番のきっかけは、北海道胆振東部地震の際に発生したブラックアウトの教訓です。あのとき、残念ながら私たちは北海道の皆さまのためにごはんを供給することができませんでした。でんきが復旧したのは地震発生から2日後、9月8日の午後10時頃。道内でも復旧はかなり遅い方だったと思います。それまで60数時間も停電が続いたことにより冷蔵庫・冷凍庫にストックしていた原材料の多くがダメになり、結果的に5,000万円分の原材料を泣く泣く廃棄処分しました。幸い地震による機械の故障や器物の破損はなく、お米も十分にあったのですぐにでも製造ラインを稼働して、被災地をはじめとする北海道の皆さまにおにぎりをお届けしたかったのですが、それもできないままただ指をくわえて電力復旧を待つしかなかったことを今でもはっきりと記憶しています。コープさっぽろの本部からは『被災地への支援要請がきている。石狩工場で作れるか?』と確認の連絡が入るけれども、『できません』としか答えられないもどかしさ。食品製造の仕事をしていて、これほどつらい思いをしたことはありませんでした。二度とこれを繰り返すわけにはいかない。万が一また停電になっても、人が生きていくために最低限必要なおにぎりだけは作れる体制を整える、それがオンサイト発電を導入することにした一番の目的です。非常時に強い工場であること。これは、『北海道の食のインフラを支える』コープさっぽろのグループ会社としての使命であると、2018年のブラックアウトを経験して考えるようになりました」。
節電で働き方改革 意識もスイッチ
「ブラックアウトを経験したことで、でんきの大切さを改めて実感しました。節電の意識が私自身にも、工場全体にも芽生えたことは震災以降の大きな変化かもしれません。石狩工場では深夜も休むことなく24時間体制で製造を行ってきましたが、でんきの使用時間を少しでも減らせるよう、現在、業務カイゼンに取り組んでいます。商品の品質維持、品質向上の姿勢は変えることなく、出荷時刻に応じた人の配置や作業工程の組み替えを行うことによってできるだけムダを省き、生産ラインを1時間でも、2時間でも止めることができれば、でんきの使用量を減らすことにつながるでしょう。節電のための製造時間短縮ではありますが、働き方そのものを見直し、作業のムダを排除して従業員の負担を軽減するわけですから、結果的に働き方改革にもなります。また、今後オンサイト発電が稼働すれば、自分たちが使わなかった余剰電力は売電してお金に換えられるので、でんきの使用量を減らすことはダイレクトに収益に結びつきます。節電によって生まれた利益は、めぐりめぐって組合員さんへの還元につながるわけです。そうしたことからも、でんきを自前でまかなうオンサイト発電への切り替えは、たくさんの意義があると考えています」。
導入予定のコージェネレーション(熱電併給)システム※図中Ⓐ