─それではまず、みんながドイツで学んだことを教えてください。
小松さん:僕は海洋プラスチック問題をテーマに研修に臨みました。ドイツにはペットボトルのデポジット制度があり、ペットボトルを返却すると0.25ユーロ戻ってくるそうです。プラスチックごみを廃棄しないための制度面のバックアップがあることを知りました。
永井さん:問題は、プラスチックの生産自体ではなく、消費時間の短さだと聞きました。たとえばカフェでプラスチックカップを使う時間は15分程度。まだ使い道のあるプラスチックがそれだけで捨てられているんです。
新野さん:私が関心を持ったのはフェルトハイム村のバイオガスプラントです。地元の穀物とか牛・豚の排せつ物からガスを取り出して熱をつくるんですが、残った液体まで肥料に使うと聞いてすごいと思いました。
─帰国後、感じたことは?
小松さん:帰国して空港でおにぎりを買いました。するとあたりまえのように商品を買物袋に入れ、袋に入ったおしぼりまで付けてくれました。ドイツでは何もないのがあたりまえだったので違和感が生じたし、そう感じられたことが貴重な経験だったと思います。
土屋さん:私も同じです。今はスーパーで買物をしても、買物袋をもらわないようにしています。コンビニや本屋さんでも極力そうします。ただ、私もほかのみんなも、日常生活の基盤は親に依存して、買物も洗濯も基本は親に頼っています。一度、洗濯のやり方をめぐって親に環境に配慮した方がいいと訴えたことがあったけど、「本当に汚れは落ちるの?」と受け入れてもらえませんでした。環境意識よりも、手間や利便性を優先する気持ちが根強いんだなぁと思いました。
吉川さん:ドイツで見学したエコな住宅が印象に残っています。暖房を使わなくても室内が常にあったかいんです。将来はこういうエコなおうちを建てられたらいいなと思います。
新野さん:ドイツではまちのいろんなところでシェアできる自転車やキックボードを目にしました。こうやってみんなで温室効果ガスの排出を抑えているんですね。
菅原さん:僕もこれからはできるだけ公共交通機関を使って移動したり、運動が好きなので体力づくりを兼ねて遠くても自転車で行ったり。スポーツ感覚で移動を楽しむのもいいなと思っています。
金森さん:自分は将来、まちづくりに関する仕事がしたいと考えています。さまざまな地域で人口減少、少子高齢化が問題となっていますが、それを解決する方法として、再生可能エネルギーを地域資源にできるんじゃないかって。たとえば風車を建てるとなれば技術者が必要だし、管理・運営をする人も必要です。そこに産業が生まれ、経済効果が生まれるかもしれない。そういうまちづくりをやってみたいですね。
菊地さん:自分は航空業界に進みたいと思っていますが、たくさんの化石燃料を使って飛ぶ飛行機が環境面から問題視されています。それで今、でんきで飛ぶ航空機の開発が進められていますが、現状はかなり厳しいと聞いています。だから、ぜひそのあたりを大学で研究してみたいと思いました。
─みんながドイツでさまざまなことを学び、行動に移した り、将来を考えていることがよく分かりました。先ほど 環境に対する意識の差という話がありましたが、意見 の違う人にはどう接したらいいでしょうか。
吉川さん:環境に良いだけじゃなく、それ以外にもメリットを見つけたらいいと思います。たとえばマイおしぼりを持って歩けばいつでも好きなときに手が拭けてしかも環境にいい、とか。コンビニのおしぼりよりもいいコトを見つけられたら、友だちに勧めやすいかな。
土屋さん:先ほど親に意見を受け入れてもらえなかった話をしましたが、その後、母と環境について会話する機会があって、私が言ったことに興味を持ってくれていたことが分かりました。知っていることや考え方には差があるという前提に立って、相互理解をしようと柔軟な考え方をすれば、ちょっとずつ変われる部分があるのかなと思いました。