―さっそくですが、日本アクセス北海道の事業について教えてください。
私たちの仕事は「総合食品卸売業」です。コープさっぽろが店舗や宅配、その他の事業を通して北海道における「食のインフラ」を担う一方で、私たちはそれを陰で支えています。具体的には牛乳・バター・チーズなどの冷蔵食品、アイスクリームなどの冷凍食品を中心に取り扱い、全道の生産拠点とお取引先をつないでいます。24時間・365日体制の物流拠点を各地に備え、お取引先へ食品を欠かさずに供給することが私たちの使命です。
―2018年9月6日に発生した北海道胆振東部地震とその後のブラックアウトによる影響は大きかったと聞きます。
はい。停電直後からチルド庫・フローズン庫をシャットアウトし、温度上昇を防いで庫内の商品が少しでも長くもつように努めました。商品の温度が一定の水準を超えれば商品そのものがダメになってしまいます。急いで非常用電源を調達したものの、残念ながら一部の商品は廃棄せざるを得ませんでした。このときの反省を踏まえてオンサイト(現地)で発電する仕組みを自社で構築できないか独自に研究を進めました。ですが、私たちだけの力では思うように進まず、またコストも予想以上にかかることから二の足を踏んでいたんです。その時にトドック電力から「一緒にBCP(※)対策に取り組みませんか?」と提案をいただきました。現在準備を進めているのはうちのメイン倉庫である石狩チルド物流センターです。延床面積1万5000平方メートルの大きな倉庫ですが、再び停電が起きた場合に備え、コスト・性能の両面で最適な非常用発電システムの導入に向けて検討を行っています。
※BCP・・・事業継続計画。万が一、企業がテロや災害、システム障害、不祥事といった危機的な状況下におかれても、企業が生き延びるために、重要な業務を継続できるような方策を用意すること。
―いつ起こるか分からない「万が一」に備えて投資する。お金をかけてもそれをする意義があるということですね。
はい。食のインフラを陰で支えるという私たちの使命を果たすためです。
―コープさっぽろではSDGsの理念に賛同し、事業活動を通じて持続可能な地域社会づくりを目指しています。フードバンク事業はその一つで、日本アクセス北海道にも協力をいただいています。
食品ロスの問題は、私たちにとっても大きなテーマです。従来より、品質に問題の無い過剰在庫品などを「トドックフードバンク」に提供していますが、今後も積極的に協力できればと考えています。また、持続可能な地域社会づくりに関していえば、私たちは全道各地に広がるネットワークを駆使して、こだわりの生産者や小さな加工場が手掛ける優れた食品を発掘したり、商品の調達を行い、販売促進のお手伝いを行っています。例えば宅配トドックのカタログを見ると、コープのお店でも取り扱っていないような地域の魅力的な名産品や、その地域に行かないと買えないレアな商品が多数掲載されています。トドックを利用する組合員さんにお届けするためには、10個や20個確保したところでとても足りません。1000個、2000個、場合によっては1万個、5万個供給する必要があります。その際に、私たちは生産者あるいは製造事業者との調整を責任もって行い、商品を調達します。組合員さんにとっては今まで知らなかった魅力的な食品が手に入る、地域の人にとっては販売先が確保されることで安心して生産量を増やすことができる。その好循環を回すことで、地域経済が発展し、北海道全体を盛り上げていくことにつながる、そう考えています。ですから、私たちはこれからも組合員さんにとってワクワクするようなトドックとなるよう、道内各地の食品を発掘し、調達し、供給することを通して、皆様のご期待に沿えるよう努めてまいります。