SPECIAL もっとわかる、エネルギーのこと

#スイッチのうら

JEN昆布盛
ウインドファーム発電所
所長・佐藤 優さん

#001

 私はトドック電力と提携している、風力発電所・根室市の“昆布盛(こんぶもり)ウインドファーム発電所”の所長を務めています。現在の業務としては、日、週、月の定例パトロールと半年、1年周期の定期点検。また定期点検とパトロール時の報告を受けて、羽根の部分や大型機器の修繕、交換などの作業は計画を立てて実施しています。

 生まれは増毛町で、自分ではあまり覚えていませんが、小さな頃からでんきに関わる仕事に就きたかったみたいです。自宅の近くで電柱に上って作業している方を見ては“僕も電柱に上りたい!”と、親に言っていたようですから( 笑)。入社は2013年ですが、その前も電力業界で働いていました。火力や水力発電の現場も経験してきて、中でも自然の力が体感できる風力発電への興味がいつしか深まり、率先して作業に取り組むようになっていきました。強風の日は上部での作業ができないため下回りの作業を行い、雷のときは一切の作業が中止に。日々の天候次第のため、予定通り作業が進まないもどかしさもありますが“風とにらめっこしながら日々の工程を考える”というのは、この仕事の醍醐味でもあります。

 羽根の点検をするときなどは、風車の柱の中に延びるハシゴを使い、日常的に風車の上部へと自力で上がります。あるとき仲間と体力自慢の話になり“タワーを何秒で上がれるか?”のタイムアタックをしたことがあります。安全第一ですが、体力には自信がありましたし、負けず嫌いなので(笑)、必死に駆け上りましたよ。85mのタワーを2分45秒で上りきって“これより早く上る人はいないだろう”と安心していたら、次の仲間がまるで走るように上ってきて、タイムを見たら、何と2分20秒!…完敗でしたね(笑)。

太平洋の海沿いに風車が並ぶ「昆布盛ウインドファーム発電所」。晴れた日はユルリ島、モユルリ島を間近に望む

 現在、昆布盛ウインドファーム発電所の人員は、社員2名、協力業者さん4名。計6名で日々の作業を行っています。でんきというのは生活になくてはならないものですから、安定してでんきを作り、送ることを日々の目標であり使命と考えて作業しています。ですが、風力をはじめとする再生可能エネルギーによる発電はまだまだ知られていないことも多いですし、発展途上かと思います。今後の発展を皆さまに見ていただきながら、さらに興味を持っていただけるよう努力していきたいと思っています。また、発電所の見学の機会があれば、ぜひ参加していただきたいですね。皆さんのご意見を聞くことで、私たち電気を届ける側も、新しい発見をさせていただきたいと思います。

 よく“○○と煙は高いところが好き”と言われますが(笑)、私は小さい頃から高いところや木登りが大好きでした。自分の好きな高い場所で、好きなでんきに携われる今の環境を嬉しく思っています。ここ根室市昆布盛はとても自然が豊かで、夏は霧の中に包まれ風車の上から見下ろすと雲海のように見えることも。また冬は一面が銀世界となり、北海道の四季を感じながら作業を行える素晴らしい環境です(もちろん、美しい風景を眺めてばかりはいられませんが…)。体力・知力・経験がものをいう職場で日々勉強の毎日ですが、風力発電に魅せられてから、今もその熱は冷めていません。この仕事に大きなやりがいを感じています。

DATA
JEN昆布盛ウインドファーム発電所
2008年操業開始。高さ65mの出力1,500kW〈キロワット〉風車が5基、高さ85mの出力2,500kW風車が1基、計6基が稼働しており年間平均発電量は約24,000MWh〈メガワットアワー〉で、北海道の一般家庭年間使用量の約7,000世帯分に相当します。

TEL 0153-27-2101
根室市昆布盛149-12 

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